古来おなごの好むもの、芝居蒟蒻芋蛸南瓜。確かに煮たかぼちゃはねっとり とした甘みがあって、酒の肴には合わない。辛党にすれば箸の進むものではな いだろう。が、甘党にしてみれば、おいしいし栄養はあるし、進んで食べたい 野菜の一つだろう。 いつ、誰が始めたのか知らないが、焼き肉やバーベキューの付け合わせ野菜 にかぼちゃが仲間入りすることが多い。例えば焼き肉屋で、野菜の皿を頼めば、 玉ねぎピーマンにんじんに混じって、かぼちゃの薄切りがたいてい入っている。 そして、肉が並ぶ網の上に、隅っこの方に追いやられた格好で乗せられる。か ぼちゃは火の通りが遅くて、生では固いので充分に火を通さなければならない から、焼くのに時間がかかる。肉はどんどん回転し、かぼちゃは忘れられて、 終いには隅っこの方が焦げて炭になりかかった奴を、誰か奇特な奴が拾い上げ る。奇特な奴が居なければ、そのまま炭へ一直線である。 しかし、焼いたかぼちゃというのは、水分が飛んでほこほこして、甘みがあ っておいしい。これなら辛党も許せる甘さで、煮た時とは違う顔を見せる。か ぼちゃの、煮物以外の食べ方がもっと広まってもいいと思う。
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