チャーハンは、それ自体立派な料理でありながら、食卓の主役たり得な
い。
　中華料理屋でも、セットでミニチャーハンが付きますとかいって、ラー
メンや八宝菜、酢豚といった主菜に対して従属的な位置にまわされる。チ
ャーハンそのものを頼んでみても、勝手にスープが付いてきたりする。チ
ャーハンだけでは主役には物足りない、そういう風に店も客も思い込んで
いるかのようである。

　家庭の食卓でも同じである。さあ今日はチャーハンを作ろうと言って、
新たにご飯を炊き、具材を買いに行って、いそいそと具材を切って下ごし
らえをし、調味料も本格中華の物をばっちり用意してチャーハン作りに臨
む、そういう人がどれほどいるだろう。大抵は、ご飯がたくさん余ってい
るから、とか、冷蔵庫の中にろくなものがないから、という理由で、チャ
ーハンでも作ろうか、という消極的な選択でチャーハンを作っている家庭
が多いはずだ。

　チャーハンが哀れでならない。おいしく作るには少し技術がいる、立派
な中華料理なのに。心ある人よ、チャーハンにもっと敬意を払って欲しい。

(C)2002　Copyright　by　Nakae Taiyo