一つのボウル、器に、主食と菜を入れ、一切合切をまとめて口の中に掻き込 んで食べる。こういう形式の食べ物は日本だけではない。特にアジアにはよく あるだろう。近い例では韓国のビビンバがそうだし、台湾や東南アジアの国々 の屋台では少し探せばありそうだ。 欧米に行くと、まず見かけない。器にこだわらなければ、サンドイッチにハ ンバーガー、ホットドッグなんかの、要するにファーストフードがそれに当た る。そう、丼ものは、コメ文化圏でのファーストフードなのである。 しかし、同じコメ文化圏でも日本ほど多種多様な丼ものを好んで食べる国民 も居まい。理由は簡単で、先も言ったように丼ものがファーストフードである からだ。他の国々では、スローフードで良しとして、何も一つの器に何もかも 盛り込んで一気に食べる必要はないのである。ところが日本だけは、早飯も芸 のうちと言って、食事に時間をかけない。勢い、飯の上にいろんな具を乗せた 丼ものが発達する仕儀となったと考える。 既に牛丼がアメリカに進出しているし、天丼も親子丼もその他の丼ものも、 日本製のファーストフードとして海外に輸出できる食文化だと思う。
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