あるトンカツ屋に入ると、『キャベツおかわり自由』という張り紙が目に
付いた。何をかいわんやと思う。

 キャベツというと、千切りにされて洋食の付け合わせにされたり、サラダ
や野菜炒めのボリュームを出すための底上げ要因として使われるケースが多
い。まるでおまけや嵩上げに使うものと思われているみたいで、なんだか認
識が低いようで腹が立つ。

 例えば、キャベツを茹でたやつをそのまま食べると、その甘さが控えめな
がらもほんのり漂うだろう。春キャベツが出る季節だと、その味はさらに濃
くなる。千切りキャベツをそのままハムで巻いて食べると、ハムの匂いと味
をキャベツのシャキシャキした歯ごたえが受け止めて、それだけでも食が進
むだろう。

 そう、キャベツは美味しいのだ。生でも茹でても焼いても、キャベツは思
ったより美味しいのだ。ただその味が控えめであるため、不当な扱いを受け
ているような気がしてならない。もっと重宝されて然るべきだと思う。
 例えば、一玉が二千円を超えるほど値上がりすると、世間はキャベツの価
値を見直すかも知れない。


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