☆　以下の文章を読み、（　）内に入るべきふさわしい台詞を、下か
　ら選べ。

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　二人の教え方は、とにかく乱暴だった。
　音出しをするべく息を吸い、唇を楽器に当てようとしたとたん、
「ちょっと待った！」
と、明日香さんにどなられた。おかげで、せっかくためこんだ息を、ブハッと吹きだしてしまった。
「なに、その下品な吸いこみ方」
「カバのあくびじゃないのよっ」
　かわるがわるに文句を言う明日香さんと若菜さんに、おれはへどもどと言い訳した。
「だって、こうしないと息が続かないから……これでも足りないぐらいだし」
　二人は、ふーんという顔で鼻を膨らました。それから若菜さんが言った。
「それじゃ、今みたいにして、もう一回やってごらん」
　おれはもう一度大きく息を吸いこみ、ラの音を出した。突然、正面から腹を押しつけられた。うっ、と驚いた拍子に、おれは楽器を落としそうになった。
「続けるのよ。これぐらいで音が止まるのは、力が入ってない証拠」
　おれは必死で吹こうとしたが、まったく音が出なかった。そればかりか、ゲホッとむせかえってしまった。
「なに……すんだよ〜」
「腹筋弱いねぇ、あんた。ほんとに六年生？」
「胸じゃなくて、おなかを使って呼吸すんのよ」
「（　　　　　　）・・・こりゃ、だめだ。ろくな音が出ないわけだ」
　以来二人は、隙あらばおれの腹筋に圧力をかけてくるようになった。油断していると、壁に押しつけられてしまう。
「音が弱い。もっと出すっ」
「ハエのほうがまだましな音出すわよっ」
　ぼろくそに言われる。さらに、おれをじろじろ見て、
「姿勢悪いわねぇ……ってことは……」
「うん、腕の力か」
　二人は、なにやら頷きあっている。
「姿勢と腕の力なんて関係ないじゃないかぁ〜」
「あるわよっ」
　文句を言ったとたん、両方からどなられた。
「腕の力が弱いと、長時間楽器を支えられない。だんだん腕がダレてくるから、それに連れて楽器の位置が下がってくる。すると、姿勢が悪くなる」
「姿勢が悪くなると、まともな息が出ない。したがって音も悪くなる」
「短い曲でも、三分や四分はあんのよ。まして、この『フルート・トリオ』は、五分以上もあんのよ。野村君、あんた何分間同じ姿勢で吹き続けられる？」
　そう言われると、一言もない。実際、おれは曲の途中で、数回楽器を下ろしたくなるからだ。
「そういえば、習い始めの頃、私達も腕の力がなくて、よく身体が斜めになってたわね」
「そーそー、あの頃は四年生だもん、まだ身体が小さくてカワイかったわねえ」
　当時は小さかったかも知れないが、二人とも現在はかなりドデカい。先生のほうがよほど華奢で可憐に見えるぐらいだ。この二人、本当は吹奏楽部じゃなくて、実は柔道部か空手部、はたまたボディ・ビル部員なんじゃないか。
「それでさ、腕の力がないのを気にして、よく一緒に腕立て伏せやったわねえ。というわけで、野村君、やってごらん」
　とりあえず、五十回というので、やってみたが、案外苦しくて二十回でつぶれてしまった。ヒーハーフーハー顎を出しているおれに、若菜さんが言った。
「今やってるのが（　　　　　　　　　　　　）」

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Ａ：胸式呼吸、つまり肺しか使わないやつよ

Ｂ：腹式呼吸、つまり横隔膜を使うやつよ

Ｃ：胸式呼吸、つまり横隔膜しか使わないやつよ

Ｄ：あんた、横隔膜持ってないの？

Ｅ：横隔膜を使うから、肺が縮んだままなのよ